ベルトレスリングはロシアにあるボルガ川中流域の都市カザンを中心とした、ボルガ地域・ウラル地域で発達した数百年の歴史を持つ民族格闘技が競技化されたものです。
ルールを簡単に説明すると、腰に巻いた帯をお互いに持ち合い相手を投げて背中から落とす競技になります。東アジアから中東にかけてのシルクロード付近の国ではよく似た民族格闘技が数多く存在しております。日本人に身近なところで言えば、大相撲、韓国相撲、モンゴル相撲も同じ系統の民族格闘技と言われており、これらの格闘技はもともと同じルーツであったという説もあります。
なお、遠く離れた島国のアイスランドでもグリーマというよく似た民族格闘技があり、これらの関連性が研究家に注目されております。
ソビエト連邦崩壊後はロシアを中心に国際大会を開催しており、同時にルールの整備も行われました。今世紀に入り急速に近隣諸国への普及が進み、各大陸でも国際大会・世界選手権が開催されるなど、世界的な普及に努めています。アジア大陸ではヨーロッパを中心に発達した柔術競技と共同で大会を開催し、2009年にはアジアオリンピック評議会(OCA)主催の第3回アジアインドアゲームズに「柔術競技&ベルトレスリング」(デモンストレーション競技)として採用され、日本選手団からは、ベルトレスリングの第一人者でもある田中弘済選手が74kg級で銀メダルを獲得しました。
国際大会ではロシアが強豪国で、次いで旧ソビエト連邦の国々が上位を占めており、まだベルトレスリングを専門としている選手は一部の国だけで、その他はレスリングのグレコローマンの選手や柔道の選手など、他の格闘競技で活躍する選手が数多く参加しています。
日本としては2005年10月にカザン市で開催された第4回世界選手権に嶋崎寿雄選手が日本人として初参加し、その後毎年選手を派遣しています。